【長井先生コラム】「大きく変わりつつある受験」ペーパー入試から総合選抜へ
2024.07.22
子供を叱れない小学校
日本人は一糸乱れぬ統率された集団行動が得意…これは海外から称賛されている日本の小学校教育の賜物ですが、今、小学校では多くの問題が生じています。授業中に立ち歩く子供に対し、「厳しく叱責してはならない」「腕を掴んではならない」という指示があり、学校の先生は本当にどうしていいか困っています。中学校や高校でも、「授業中に生徒に質問してはならない」という傾向になっています。もし答えられなかった場合、その生徒の保護者から「うちの子に授業中みんなの前で恥をかかせた」というクレームがくるというのが理由だそうです。
多種多様な個性を受け入れ尊重するという最近の風潮はとてもいいことなのですが、スポーツと同じように、基礎学力は叱られながら、恥をかきながらでなければ身につきません。基礎学力が身についているという大前提が必要なのです。
多様化した子供と多様化した試験
10人いれば10通りの個性があり、1回のペーパー試験で順番をつけること自体に無理があります。ペーパー試験で高得点をとった子が優秀なわけではなく、学力以外に身体能力、危機管理力、統率力、創造力、コミュニケーション能力など多角的に評価されなければなりません。勉強だけできる子が必ずしもリーダーに向いているとは言えないというデータもあります。
皆さんは、今年の大学1年生のうち推薦入学した学生は何%いると思いますか?昔は2割程度でしたが、今は6割が推薦で大学に入ってしまう時代なのです。今後も、学校の成績だけでなく、スポーツや音楽やボランティア活動もして推薦で合格する『総合選抜型入試』が主流となっていくでしょう。家庭では勉強だけでなく、子どもにいろいろな経験をさせる方が、より幅の広い人間を育めるのではないでしょうか。