【長井先生コラム】「ビクビクした子供」
2025.09.23
脳の中心あたりにアーモンド形をした左右2対の「扁桃体(へんとうたい)」という神経細胞の集合体があり、ここで「おもしろーい」または「つまらない」などと感じます。そのすぐ隣に「海馬」という記憶器官があり、良悪に関わらず強烈な情動反応したことを短期的に記憶します。
扁桃体の役割はこれだけではありません。私たちは、危険な状況下では、五感を通して脳に入ったあらゆる情報を分析し、扁桃体から「危険!危険!」とアラームが発せられ、危険を回避するために動悸を早くし、呼吸を抑え、いつでも走って逃げられる状態にします。扁桃体は不安や緊張、恐怖反応で重要な役割を担っているのです。
したがって親からのDVやイジメなどで扁桃体が過度に刺激されると、いつもビクビクしている子供になってしまいます。
かといって、まだこの扁桃体が十分に発達してない幼少期に、親が「あれは危ないからダメ!これもダメ!」と全ての危険を回避させると、ほんのわずかな不安や緊張に対しても過敏に反応して、ビクビクしてしまう子になるのです。
あまり激しい危険もダメ、しかし、まったく危険を回避させるのも扁桃体にとっては良くないのです。程よく危険を経験させ、「あ~こんなことをしたら危ないんだ!」と脳に学習させることが必要です。
日本は、外国からの旅行者が口を揃えて言うように、レストランで「皿が熱くなっていますので気をつけてください」、駅で「切符の取り忘れしないように」などなど…。痒いところに手が届くサービス満載の危険が少ない国ですが、それは大人にとってであり、子供にはなんの危険も学習できない国なのです。
子供は自分で小さな危険を経験することで大きな危険を回避することを学びます。親が守ってばかりいると一人では何もできずいつもビクビクしている子供になってしまいます。