東広島の学校給食、どうやって作られている?
2020.10.12
こんにちは!コドモト編集部のS子です。子どもたちが食べている給食はどのように作られているのかを知りたい!
ということで、東広島学校給食センターに給食が子どもたちの元に届くまでを教えていただきました。
東広島市には4カ所に学校給食センターがあり、34の小学校と14の中学校、市内計48校の市立小中学校へ給食を提供しています。
今回お話を聞いた東広島学校給食センターは小学校15校(板城小、板城西小、上黒瀬小、川上小、郷田小、下黒瀬小、寺西小、中黒瀬小、乃美尾小、八本松小、原小、東西条小、御薗宇小、吉川小、龍王小)、中学校6校(黒瀬中、向陽中、西条中、中央中、八本松中、松賀中)の合計21校を担当しています。
※学校名は50音順
ここから各学校に運ばれていくのですね~。
❶献立作り
約2カ月前、栄養士が翌々月の学校給食の献立を考えます。担当している21校へ提供する献立を約1カ月かけて作成します。
東広島市の学校給食は
① 日本型食生活を基本とし薄味にする。→出汁をとる(昆布、鰹節)。
② 家庭で不足しがちな栄養素を含む食材を取り入れる。→大豆、海藻、魚介類
③ しっかり噛む食品を使用する。→かみかみサラダ
④ 地場産物を活用し地域とのつながりをもつ。
⑤ 児童生徒が学習した内容と関連させる。→国語の「サラダでげんき」のりっちゃんのサラダなど
などの方針のもと、作られています。
東広島学校給食センターは設備規模が大きく、提供食数も多いため3通りの献立を同時進行で作っています。
使用する設備にまで気を配って献立を作成するのは大変な作業ですね。
献立作成の際には「同じ味付けや同じ内容の献立が続かないこと、アレルギーの出やすい食材をあまり使わないこと、栄養バランスの良い献立になるよう、気を配っています」とセンターの栄養士さん。
東広島市の給食の副食は基本的に2~3品で構成されています。
献立表は6人の栄養士全員でチェックし、完成します。
献立気付きポイント
★週に1回はパンが主食
★月に5~6回は【タイトル】が付けられた給食が!行事食、郷土料理、世界の料理、リクエスト給食などなど。
❷食材の発注
献立が決まると食材の発注を行います。
使用する野菜はJA広島中央からの情報を基に、東広島産の野菜をなるべく取り入れています。
東広島産の野菜を使用する場合は、当日各学校へ「地場産物速報」として情報発信しています。
食材の発注気付きポイント
★東広島市の食材が使われる日は、各学校へ地場産物速報がFAXされている。
★送られてきた地場産物速報を、給食の時間の校内放送で紹介している学校もあるんですって!
実際の調理の様子を見せていただきました。
❸当日の検収
東広島学校給食センターは7時45分から動き出します。
まずはチルド品や豆腐、もやしなど当日朝に入荷する食材の受け取り・検収を行います。
もやしは傷みやすいので、使用する日の朝に入荷します
❹洗浄・下処理
使用する野菜の洗浄・下処理を行います。
野菜は水を替えながら3回洗います。
ここでもアレルギーの出やすい食材の洗浄についても注意を払っています。
❺食材のカット
使用する食材をカットします。機械でカットするものもありますが、豆腐などは全て包丁を使い手作業で切っていきます。
食材を用途に合わせてさまざまな大きさにカットします。
食材を機械で切る作業
包丁を使っての作業
食材のカットの気付きポイント
★通常機械でカットしているニンジンも、使用する大きさによっては包丁でカットすることもあるそう。
卵は特別扱い?
卵は食中毒の原因となるサルモネラ菌が付着している可能性が高いので「割卵室」という専用の部屋で作業しています。
異常がないかを確認するため、一つ一つ食器に割って確かめてから使用します。
多い日には120kg(約2000個)もの卵を割ることもあるそう。
❻調理
炒め物、汁物は大きな釜を使って調理します。
汁物だと1釜で約850人分を作っています。
和え物を調理している様子。大きなしゃもじ(スパテラ)で手際よく混ぜていきます。
かきたま汁を調理している様子
揚げ焼き室では揚げ物や焼き物を行います。
焼きあがった食材は、中心温度計で中心部の温度を確認します。
中まで火が通っているか、入念にチェックします
調理の気付きポイント
★調理に使われる大きなしゃもじ(スパテラ)、調べてみると50センチ以上あるそう。迫力ありますね。
❼完成したおかずのつぎ分け
完成した料理を各学校へ配送するように食缶へ詰めます。
温かいうちに、と迅速に作業が進みます。
給食の安全のために
❽積み込み
配送トラックに積み込みます。
1台のトラックにおよそ2~3校分のコンテナを積み込みます。
❾洗浄・翌日の準備
調理が終わると洗浄・片付けを行います。
次の日の工程確認作業なども行います。
釜の洗浄
翌日の工程表を作成
❿翌日使用する食材の受け取り・検収。食器・食缶の洗浄。
翌日使う食材の受け取り・検収を行います。
外部の納入かごなどはセンター内へ持ち込めないので、全てセンターの専用容器へ詰め替えます。
じゃがいもを一つ一つ検品しながらセンターのかごに移します
各学校から帰ってきた食器・食缶を洗浄します。
翌日に使用する食材の検収気付きポイント
★外部からごみや細菌、ウイルスを持ち込まないために、外部のかごをセンターに持ち込まない、など衛生管理が徹底されています。
・ゆめまる汁(手前右)
東広島産の野菜を使用した「ゆめまる汁」。食育の日に登場します。
「ゆめまる」という名前は「ゆたかな、めぐみ、東広島まるかじり」から取ったものです。
👆この日の献立:【食育の日の献立】
古代米ごはん・牛乳・さんまのかば焼き・ごまあえ・ゆめまる汁
(志和町のねぎ・西条町のとうがんを使用しています)
・ひろしまあげ⤴あげ⤴ちくわ(奥中央)
平成25年度に広島給食100万食プロジェクトにて開発された、「ひろしま給食」メニューの一つです。
ひろしま名物「お好み焼き」をイメージさせる衣をつけたちくわの天ぷらです。
👆この日の献立:【ひろしま給食】
ごはん・牛乳・ひろしまあげ⤴あげ⤴ちくわ・添え野菜・けんちん汁
(志和町のねぎを使用しています)
・まごわやさしいうま煮(手前右)
「まごわやさしい」の食材を使った煮物です。
「まごわやさしい」の「ま」は豆類、「ご」はごまなどの種実類、「わ」はわかめなどの海藻、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」はしいたけなどのきのこ類、「い」はいも類です。
これらを多く使った料理を日本型の食事といい、世界に認められた長寿食です。
👆この日の献立:ごはん・牛乳・鮭の塩焼き・添え野菜・まごわやさしいうま煮
~番外編~
・ABCスープ(手前右)
アルファベットと数字の形をしたマカロニの入った子どもたちに人気のスープです。
👆この日の献立:【目の愛護デー献立】【三ツ城小学校6-1 リクエスト給食】
きなこパン・牛乳・りっちゃんのサラダ・ABCスープ・ブルーベリーゼリー
・りっちゃんのサラダ(奥中央)
1年生の国語の教科書に掲載されている「サラダでげんき」の中に出てくるサラダです。
👆この日の献立:【目の愛護デー献立】
コッペパン・ブルーベリージャム・牛乳・りっちゃんのサラダ・秋の香りシチュー
(西条町のトマトを使用しています)
・世界の料理(ギリシャ)
焼いたり揚げたりしたミートボール「ケフテス」(奥中央)と、ひよこ豆のスープ「レヴィスィアスーパー」(手前右)です。
👆この日の献立:【世界の料理(ギリシャ)】
コッペパン・マーガリン・牛乳・ケフテス・レヴィスィアスーパー
(豊栄町のたまねぎを使用しています)
取材の感想
取材させていただいた東広島学校給食センターでは6人の栄養士さんと約70人の調理員さんが安全で栄養豊富な学校給食のために作業してくださっています。
衛生面はもちろん、食材を洗う順番や切る作業などでアレルギー成分が他の食材に付着しないよう気を配っておられたのが印象的でした。
郷土料理や世界の料理など、家庭では再現できない料理も味わうことができる給食。
小学生の子どもを持つ母として、より一層感謝の気持ちが増した取材となりました。