東広島市立の小中学校、校則の見直しってどうなっている? 今後、見直し方法が変わるかも!
2021.07.08
こんにちは。コドモト編集部の東子(とうこ)です。東広島市議会の6月の本会議一般質問で、「学校の校則」に関する質問がされました。どんな内容だったのか。解説します。
東広島市立の小中学校の校則の見直しについて、「現状」と「今後」をすぐに知りたい人は、下の目次の「2 校則の見直しに関する今回の一般質問のポイント」へGO!
目次
■校則の見直しについて、どのような決まりがあるのでしょうか。
文部科学省の「生徒指導提要」の「第7章1節」に校則についての言及があります。
要約すると法的根拠は無いが、判例で校長が決定できるとされている、といった感じ。
■広島県教育委員会の「生徒指導の手引き」にある校則についての記述を要約すると、
校則には
① 絶対に守るべきもの
② 努力目標というべきもの
③ 児童生徒の自主性に任せてよいもの
の3点の視点があり、服装などは②に該当するようです。
「見直しに際しては,児童生徒に議論させるなどして,校則の必要性を考えさせることによって,児童生徒が主体的に守ることのできる内容としていくことも大切です」と示されています。
■校則の見直しに関する全国の動き
ここ数年、校則の見直しに関するニュースが取り上げられています。その一部をリンクします。
・Yahooニュース「萩生田文科大臣「人権・人格を否定する校則は望ましくない」。校則のHP公開にも前向きな姿勢」2021年3月21日
https://news.yahoo.co.jp/byline/
murohashiyuki/20210321-00228000/
・琉球新報「ブラック校則変えてほしい 髪形や肌着、細かく規定 沖縄県教委、柔軟対応呼び掛け」2021年3月19日
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1288982.html
・熊本日日新聞「小中高校の校則見直しへ 熊本市教委、人権や社会通念に配慮」2020年12月25日
https://kumanichi.com/articles/40664
・安田女子ホームページ「『未来の教室』事業 「ルールメイカー育成プロジェクト」」
https://www.yasuda-u.ac.jp/jh/notice/2020/news118.html
・西日本新聞「校則をなくしてみた中学校 「常識」に挑んだ校長の改革」2019年5月27日
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/513553/
東広島市議会の6月の本会議一般質問で行われた「学校の校則」に関する答弁のポイントをまとめると以下になります。
【現状】
・市内の全ての小中学校では、過去3年以内に校則の見直しが行われている。
・見直しへのプロセスは各学校でさまざま。
・市内全学校の4割が保護者や児童生徒の意見を聞き、それを反映させて校則を見直している。
【今後】
・今年度、有識者会議を設置し、新しい時代に対応した生徒指導の在り方を議論する。
・その議論の中で、校則の見直しプロセスや運用の仕方も含めて、学校に工夫を促していく。
■鈴木英士市議
今年の3月に熊本市教育委員会が「校則・生徒指導のあり方の見直しに関するガイドライン」を出すなど、校則を見直す機会を作るという機運が全国で高まっています。そこでまずは、本市の校則の現状について伺います。
国、県の方針によると校則の運用については原則学校長判断となっており、学校によって運用は異なっていると思います。本市においてもPTAから年に1回意見を聞く場を設ける事やアンケート等で広く意見を求めている事例もあると聞いており、広く意見を聞こうという姿勢が見られています。
しかしながら、PTA総会などの場で校則の見直しに関して意見を求めている場合、大勢の方がいる中、その場で手を挙げて意見するには精神的なハードルが高いという声があります。また、そもそも 校則の変更等について声をどのようにあげていっていいか分からない という声も聴いております。
そこで、本市の小中学校の校則を見直すプロセスがどのようになっているのか、また、これまでにどのように校則が見直されてきたかについて伺います。
■市教委
まず、「市内小中学校の校則の現状」について。
校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための指針として各学校において定められたものです。
本市では、市内全ての小中学校において、校則が定められており、その内容は、通学、校内生活、服装及び髪型、所持品、欠席や早退等の手続、校外生活などに関するものとなっています。
校則の見直しは、校長の権限において適切に判断されるべき事柄であり、 本市の小中学校では、全ての学校で、過去3年以内に見直しが行われています 。
見直しのプロセスは、各学校においてさまざまで、市内全学校の4割が保護者や児童生徒の意見を聞き、それを反映させて行っています。
具体例として、ある小学校では、PTA総務委員会及びPTA総会で保護者の意見を聴取するとともに、Google回答フォームを利用して意見を聴取しております。
また、ある中学校では、生徒総会で、生徒から意見を聴取する機会を設けています。
見直しの内容の主なものは、靴下や下着の色、髪型等といったものです。
次に、「校則の見直し」について。
学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況は常に変化するため、本市は、校則の内容は児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえて、絶えず見直しをする必要があると考えています。
学校は、集団生活の場であることなどから、一定の決まりが必要です。
そのため、校則の見直しに当たっては、児童生徒が校則等を自分のものとしてとらえ、自主的・自律的に学校生活を送る態度を育てるという視点が大切であると考えています。
また、社会情勢の変化を踏まえ、LGBTや、外国籍の児童生徒への配慮も必要であると考えています。
このため、今年度、本市教育委員会において有識者会議を設置し、新しい時代に対応した生徒指導の在り方について議論する予定です。
その内容を踏まえ、教育委員会で、各小中学校が今後、校則の見直しを行うに当たって参考になる方針を示し、校則の見直しプロセスや運用の仕方も含めて、子どもたちが納得して進んで守ろうとするような校則となるように、学校に、工夫を促していきたいと考えています。
東広島市立の小中学校で、過去に行われた見直しについて、具体的な事例を答弁の中から抜粋しました。
・冬季に屋内で長ズボンを履いてもよくなった
・登下校でネックウオーマーの着用を可能にした など
質問をした鈴木英士市議に、市の答えに対する感想をお聞きしました。
「前向きな取り組みとなるよう期待しています。
校則の変更については各小中学校の取組となるので、児童生徒、保護者の声をしっかりと聴きながら、不合理なものは修正・変更を進めてほしいです」と話していました。
保護者はどう思ったのか、 子育て中のパパさん・ママさんに感想をお聞きしました 。※2021年7月5日、アンケートで聞き取り
●子どもが通っている小学校の校則の見直し方法はどうなっているか気になりました。また、昔とは気候などが違うので、服装や髪型について柔軟に希望が聞いてもらえるようになったら良いと思います。
●子どもの意見なども取り入れながら、子どもが納得でき自ら守れる校則に見直しが行われてほしいです。
●わが子が小学6年生になると、中学では白い下着(上)が決まりなので、今から買うものは白にしてください。と言われました。白いシャツなので、白じゃないと目立ちますが、下着の色まで決まりがあるのも変だなあと思ったりもします。
●集団生活をしているので、規則は絶対必要ですが、あまりにもおかしい校則は変えていくべきです。でもどうやって変えられるものなのかも分かりませんし、子どのの声だけ(生徒総会)で変えられるものでもないと思っていました。特に中学校は先生の圧がすごいので。
●わが子が通う学校に関しては校則について、意見を聞かれたことはありません。そして在学中に校則の見直しもありませんでした。見直しをした学校は、ほんの一部なんでしょうね。
●風紀よりも寒さ、暑さ対策に重点を置いて改善されていくのはとても良いことですね。女子でもズボンOKにするなどジェンダーの観点から専門家の意見を聞きながら進めてほしいなぁと思います。
●以前、友人が子どもの登下校の大量の荷物のことで地元市議会議員に問い合わせしたところ、教育委員会としては、各学校に一任しているといわれ明確な答えが得られなかったそうです。
参考リンク・文部科学省「教育提要」、広島県教育委員会「生徒指導の手引き」
文・コドモト編集部 東子