【長井先生コラム】「もっと自己主張できる子に!」
2025.10.21
日本では昔から目立たないことを美徳としてきました。会話で「私」という1人称を言わないことにも表れています。小学生の頃から同じ制服を着て、規律正しい集団行動にみられるように個よりも和を重視してきました。海外の人たちが日本の小学校を視察すると、みんなが一緒に教室を掃除するのを見て驚嘆します。日本の初等教育で培われた『みんな同じように』という平等の精神は良いことをたくさん生み出してきました。しかし、時には『他の子と違う』ということだけで集団の規律を乱すとして抑え込まれてしまうこともあります。
教育現場は、集団生活の規律や他人への思いやりを学ぶと同時に、自分の意見や主張を学ぶところでもあります。日本はどうも前者ばかりに力を入れすぎて後者が欠けているような気がします。
「まわりのみんなが幸せならそれでいい」「みんなの意見に合わせる」という自己犠牲にも似た発想は日本人独特です。日本では「人に迷惑をかけないように」と教育されますが、中国では「人に騙されないように」「自己主張するように」と子供の頃から刷り込まれる…とある中国人の知人から聞きました。そうでなければ14億人の中に埋没してしまうそうです。欧米や中近東も同じで、しっかりと自己主張をします。
日本人はお互いをリスペクトして秩序を乱さないようにして調和を保っています。だからこそ海外からの訪日客が日本を絶賛しているのです。しかし、彼らは、日本人に、まわりに気を使いすぎて自分の意見を言えない人が多くいることに気づいていません。
そんな人たちの中には、そのストレスで心を病み、心療内科に受診するようになっている人もいるのです。私の知る限りでは、親が子供に対して支配的で過干渉をする家庭環境に育った子供は、大人になってからも自己主張ができず人の意見に振り回されてしまい心の病気になりやすくなります。子供にとって家庭環境はとても大切なのです。