幼児期の「おいしい」料理 親子クッキングが育てる さまざまな力
2017.03.18
健康な体を作るため欠かせない「食べる」こと。幼児のころからクッキングに触れていると、料理だけでない場面でも役立つ子どものさまざまな力が育まれる。
■五感をフル回転。語彙も増える
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感は、体験・経験することによって発達していく。その五感をフル回転させるのがクッキング。野菜の色や形を見る▽においをかぐ▽手で皮をむく、切る▽味を知る▽切る 時や煮る時の音を聞く―など。
「感覚が成長する幼少期に、たくさん五感を刺激することで、思考力や感じる力も育ちます。1~2歳でも混ぜる、こねるなどができます。大人も楽しみながら、簡単なことを少しずつ 体験させてみてください」と山根さん。
また、煮る音『ことこと』、焼く音『ジュージュー』など、抽象的な言葉と実際の状態が結びつくことで、語彙が増えるだけでなく、調理前の食材に触れ、「命をいただいている」ということを実感させることで、食べ物に感謝する心が育っていく。
■事前にやり方説明。指示を理解する力付く
3~4歳ではピーラーでの皮むき、野菜のカット、5~6歳では包丁での皮むき、焼く・炒めることにチャレンジを。刃物や火を使うときは、「こうするとけがをするよ」「ここは熱いから持たないよ」と基本的な使い方と危ない理由を しっかり説明してから、実践させよう。
「事前に説明をすることで、子どもは人の話を集中して聞く力、指示を理解する力が身に付きます。子どもが作業している時には、隣で手本を見せたり、見守ったりして、危ないとき以外は手を出さないように しましょう。子どもの達成感がぐんと高まります。達成感を感じることで嫌いな食材が食べられるようになった子どもはたくさんいます」
料理の手伝いで、家族のコミュニケーションが増えるのもメリット。大人が料理をしながら「楽しいな」「やってみる?」と好奇心をくすぐって。
■食材や料理の話題を。食べる楽しさ感じる
食べることは一生涯。子どものうちに「食べる楽しさ」を体感することが、健康な生活への第一歩。
「食べ物の『おいしさ』の楽しさはもちろん、食事中の家族の会話も『楽し い』と感じる重要なポイントです。食べ物の話題を出してください」
食べ物の話題は、旬の野菜を出し、色や栄養などについて話す▽豚肉や鶏肉など食材の話をする▽一緒に 買い物に行き、子どもが選んだ食材を使った料理を出す▽幼稚園・保育園で出た給食やおやつについて話す▽他国の料理(中華やイタリアンなど)を出し文化に触れる―など。
■失敗して当たり前、プラスの声掛けを
一緒に料理するのがいいのが分かっていても、「目が離せないし、失敗したら怒ってしまうから大変」というのが親の本音。
「子どもは失敗するものです。混ぜる時は大人がボウルを押さえる、こぼして も片付けが楽になるようにテーブルにラップを敷いておく、子どもが使いやすい調理器具を選んでやるなど、ちょっとした工夫をしてみてください。親も子どもも楽しむことが一番です」
子どもには「粉が見えな くなるまで混ぜてね」「100のところまで牛乳を入れてね」など具体的に言うと指示が伝わりやすい。同じ作業をやめない時は「次はこれに入れるんだよ」「焼いたらおいしいパンになるよ」など、プラスの声掛けを。投げるなど遊びになっている時は「食べ物で遊んではだめ」と言い聞かせる。
※ザ・ウイークリー・プレスネット2017年3月18日号掲載