サタケの「光選別機」は瞬時に異物を見付けてはじくすごい機械だった
2021.03.21
私たちがスーパーや米穀店などで購入して毎日食べる白米は、白くてきれい。そんな当たり前を支える機械を地元企業のサタケ(東広島市西条西本町)が製造している。最新の「光選別機」のすごさをリポート。(文/茨木)
\光選別機で選別している様子を動画で撮影/
◆素材や形状の違いも正確に判別
光選別機は、さまざまなカメラで異物を見つけて、空気ではじく機械。玄米や米に混ざった石や虫食いの米を取り除くことができる。
光選別機の前身となる「色彩選別機」は1979年に誕生。当時はモノクロカメラを搭載し、光源にはハロゲンランプや蛍光灯を使っていたという。
近年、光学技術の進歩によって、フルカラーカメラや近赤外線カメラ、LEDライトを搭載するようになると、選別の精度は格段に進歩。色だけでなく、素材や形状の違いも正確に判別できるようになった。
現在は米だけでなく、さまざまな物の選別に活用されている。サタケでは時代やメーカーのニーズに合わせて、機械を製造してきた。これまでに選別した物は約220種類。私たちの生活に身近なものにサタケの技術が生かされている。
1時間に最大4.6tの白米を選別できる。私たちに身近な10kgの白米だと、最短約8秒で選別できる。6台連結して、さらに処理能力を上げることもできるので、大型精米工場で大活躍。
高精度のフルカラーカメラと近赤外線カメラを搭載。高光度のLEDで米に光を当て、1mm以下の小さな点も見つけ出す。材質や形状の判別もできるので、見分けが難しい同系色のガラスや石も見逃さない。
◆光選別機(スラッシュ)の仕組み
カラーや近赤外線のカメラで異物を見つけ、不良品となる原料をバルブ(空気を排出する機械)から噴射する圧縮空気ではじいて分ける。
圧縮した空気を一気に噴出することで見つけ出した異物をはじくサタケなどが共同開発したピエゾバルブを搭載。弁の開閉スピードは1秒間に2000回。余分な空気が噴出されないため、より鋭く異物のみをはじくことができる。
サタケでは、メーカーからの注文に合わせて、米以外のさまざまな物を選別する機械を製造している。大豆やゴマなどの穀類、インスタント食品の乾燥野菜、製菓、ドッグフードなど。
光選別機の開発メンバー・岸本光平さんにものづくりの楽しさをお聞きしました。
― やりがいは。
開発した機械の性能が出ず、何度も作り直したり試験をしたりと苦労することはよくあります。チームの人や営業の人、製造する人と一緒に力を合わせ、アイデアを出し合い機械の作りやすさ、使いやすさを考えながら1つの商品ができます。ですので、作ったものを評価された時が一番うれしいです。
― 元々、ものづくりが好きだったのですか。
音楽と子どもが大好きで、音楽に関わる仕事か保育士になりたいと思っていましたが、大学で医療工学に出合いました。大学では、内視鏡カメラの開発、レンズの設計などを学びました。その中で「光選別機」という面白い機械を製造するサタケを知り、入社。技術本部に配属され、選別機の開発に関わることになりました。
― ものづくりに大切なことは。
1つのことだけでなくさまざまなことに興味を持って、挑戦することが大切です。アイデアは全く別の場所にあることが多いからです。また、作るためには、物をバラす作業も重要です。中身を見ることで、機械の仕組みが理解できて、開発につながっていくからです。