中高校生に警告 SNS被害が多発!!
2017.08.13
スマートフォン(スマホ)の普及で中高校生の約80%が会員制交流サイト(SNS)を利用している。便利さの半面、SNSが発端になって、未成年者が犯罪に巻き込まれるケースが後を絶たない。気持ちが緩む春休みを前に、広島県警の担当者に被害の実態や防止策などを聞いた。(日川)
広島県警がまとめた「SNS等に起因する事件の未成年者数の推移」(表参照)によると、かつては出会い系サイトによる被害が目立っていたが、現在は減少傾向にある。その一方で増えたのがSNSを発端にした被害だ。「誰かとつながっていたい」「話し相手がほしい」という動機で利用するツイッターやLINEが被害者を生んでいる。
「一番の懸念は自画撮りによる被害」と語るのは、県警少年対策課の山田章生課長補佐。自画撮り被害は、だまされたり、脅されたりして自分の裸体を撮影させられた上、メールなどで送らされること。ほとんどがSNSに起因し、被害に遭った約9割が中高校生だ。(別掲に自画撮り被害の典型事例紹介)
「放っておくと、もっと深みにはまってしまう」と山田課長補佐。「拡散」を盾に性的関係を強要され、実際に性犯罪被害に遭ったケースもあるという。
さらに今、増えているのが学生 限定のトークアプリを舞台にしたケース。中高生に大人気だが、大人が学生になりすまし「侵入」。学生限定という安心感に付け込んだ悪質なものだ。
広島県警少年対策課・少年サポートセンターの平垣内徹所長は「SNSによる事件は、子どもたちの寂しさに起因している」と指摘する。寂しさを紛らわすためのツールが、かつてのバイクなどによる暴走行為からSNSに変わっていった、と言い、「今はSNSを使って気軽に友達関係を作り、いつの間にか犯罪に巻き込まれてしまう」と強調する。
こうしたことを踏まえ、県警では、被害を未然に防ごうと、「サイバー補導」に力を入れる。警察官がインターネット上にある書き込みをチェックし、不適切な書き込みを見つけた場合、身分を隠してメールをやり取り。援助交際などに発展するような場合には、実際に会って身分を明かした上で補導し、保護者に指導を行う。平垣内所長は「会ってみると、被害に遭っているのは小遣い稼ぎなどを動機とした普通の女の子。すそ野の広がりを感じる」と話す。
では、SNSの被害者にならないためには、どう対処すればいいのか。平垣内所長は「悪質なサイトへの接続を制限するフィルタリングの活用が効果的。事件に巻き込まれないための抑止力として一定の効果がある」と強 調する。さらに、「困ったときには一人で悩まないで、少年サポートセンターに連絡を」と呼びかける。スマホを購入し契約する際には、家庭でルールを決めること(表参照)や、購入業者からアドバイスを求めることもポイントだ。
広島県内のある女子中学生が、ツイッター上で面識のない女子中学生と仲良くなった。学校のこと、恋人のことなど気軽に話をするようになった。LINE(ライン)を通じてさらに仲良くなった。生年月日や住所、電話番号などを教え合った。もっと親しくなりたいと写真も送った。いつのまにか顔写真から下着姿にとヒートアップ。女子中学生と思っていた相手が実は成人男性だった。
「下着姿の写真をばらまかれたくなかったら、バストアップの写真を、さらには全裸の写真を」と要求された。女子生徒が担任に相談して発覚。「拡散」などの被害を防ぐことができた。
SNS被害を防ごう
家庭でのルール作りの例
□インターネットで知り合った人と直接会わない
□個人情報をインターネットに書き込まない
□下着や裸の写真は撮らない、撮らせない
□人の悪口を書き込まない
□アプリをダウンロードするときは保護者に確認する
□利用時間は1日○時間と決める
□ルールが守れないときは使用禁止
SNSトラブルで困ったらここに相談
少年サポートセンターひろしま
tel.082-242-7867