自分から勉強する子に!もう「勉強しなさいっ!」とは言わせない
2020.03.19
子どもたちが家でダラダラしている姿を見て、「勉強が済んだらお小遣いをあげる」とご褒美を提案したり、「毎日ちゃんとしないと終わらないよ!」と脅してみたり…。勉強をさせるために、あの手この手を尽くしている保護者も多いのでは。どうしたら、自ら勉強してくれるようになるのか。学習指導の在り方を研究している広島大学大学院教育学研究科の深谷達史准教授に伺いました。
「自ら学びに向かう姿勢を身に付けるには、学習観と動機づけがポイントになります」と深谷准教授。
学習観とは、学習とはどういうものかという考え方のこと。例えば、中学生になって英単語を覚えるとき、とにかく丸暗記するという学習方法の人もいれば、意味と関連付けて覚える人もいますよね。ただ、丸暗記はその場しのぎの方法で、成績アップにつながらないという実感を持つ人も多いはず…。
「学習につまずく子は、丸暗記志向、勉強量重視志向といった偏った学習観を持っていることが多い」と深谷准教授は心配する。学習観と学業成績の関連性を見ると、うまく学習ができている子はバランスの取れた学習観を持っているという傾向が見られるそう。
「もしお子さんに丸暗記重視の傾向があって学習につまずいているなら、他のやり方もあるよというアドバイスができたらいいですね」と深谷准教授。結果を重視するばかりでなく思考過程も大切にする、失敗を避けることに気を取られるだけでなく、失敗を情報として捉えて成長のために活用していこうと考える。そんないろいろな視点をもって子どもに関わってみましょう。
なんとか勉強してほしいと思う時、「お小遣いをあげるから」とか「勉強しないとゲームできないよ」など、報酬やバツを与える方法が頼りになります。これらは外からコントロールする「外発的な意欲の高め方」で、一時的な効果はあるものの、報酬が与えられたりバツが終わると行動に向かわなくなる傾向が大きいのです。
できるなら、子ども自身が「面白いからやりたい」「楽しいからやりたい」と思うような内発的な動機づけが理想です。「そのためには、今の学習が生活の役に立っている実感や、将来の仕事にどう役に立つのかを感じるような経験ができたらいいですね。将来なりたい職業があるなら、その職業について調べてみる。目の前の教科がその職業にどうつながっていくかを探ってみる。関心のあるところからちょっと深堀りをしてみると、学習意欲を高めるきっかけが見つかるかもしれません。学習とのうまい付き合い方を身に付けることができたらいいですね」。
子どもに親の学習観を押し付けていませんか、子どもが興味を持っていることは何だろう。そんなことを振り返りながら、子どもと一緒に自ら学びに向かう力を親も磨いていきましょう。
ご褒美を与えるといった外発的動機づけは、心理学ではあまりよくないとされていますが、自分で目標を立て、それができたら自分にご褒美を与えるという動機づけはいいと思います。自分を律する力にもつながります。まずは親御さんから、「今日の目標決めてみない?」ときっかけをつくり、お子さんの意欲を刺激してみてください。
勉強をやろうとしない背景に、「できないから」という理由が隠れていることが多々あります。小学校低学年なら、親御さんが一緒に学習に取り組んでみてはいかがでしょうか。できる経験を積み重ねることで、学習に意欲的になれるかもしれません。
学習に価値が見いだせないと、意欲は高まりません。何を大事にするかは人それぞれです。学習した内容が、「楽しい」「役に立った」という実感が伴う経験につながると、勉強したい理由が見つかるかも。そんな親子の関わりができたらいいですね。
Q.子どもは、宿題などの勉強を主にどこでしていますか。
ダントツでリビング!一緒に勉強教えてあげるのも良いかも。
Q.子どもの宿題についての悩みは何ですか。
悩んでいることは皆さん同じよう…
その他にはこんな意見も
▶忘れている
▶多すぎて時間がかかる
▶早く自由が欲しいので字がすさまじい
Q.子どもは宿題を主にいつしていますか。
「帰宅・遊んで帰ってきてすぐ」という意見が多いようです。早めに宿題を終わらせたいのかもしれませんね。
その他にはこんな意見も
▶プリントやドリルは学童で、音読・計算カードは帰宅してすぐ
▶すぐしたり、なかなかしなかったりいろいろ
▶帰宅しておやつの後
▶支援学校なので、本人の気持ちの余裕がある時に一緒に取り組む
子どもとの接し方を変えて一緒に勉強に取り組むのも大切。この機会に子どもと勉強への取り組み方を見直してみては
深谷達史准教授
広島大学大学院教育学研究科
教育心理学専攻。自立した学習者を育てるための学習指導の在り方、教師指導の在り方を研究。
※プレスネット2020年3月19日掲載記事より