【長井先生コラム】「キレる子供たち!」
2024.11.28
子供の精神的な成長過程で重要なのは、まわりの人たちとの関係性です。子供は、親や同世代との触れ合いを通して他者とどのような関係を保てばうまくやっていけるのかを学習しますが、親が何でも子供の代わりにしてしまったり、決定すら親がしてしまうと、子供は自分で考えて決定し行動することができなくなります。そのうち、いつも誰かと一緒にいないと不安で仕方がなくなり、泣き叫んだりして情緒不安定になります。
キレル子供は攻撃性が強いと思っておられる方が多いようですが全く逆です。
デパートのオモチャ売り場で、子供が周りの人などお構いなしに「これがほしいよ~」と泣き喚いて、お母さんを攻撃する光景をよく見ます。母親は、泣き叫ぶ子供に忍耐強く接します。「お母さんなんか大嫌い!」と子供は憎悪の感情を母親にぶっつけます。そのうち、子供は『これ以上、お母さんを怒らすとまずいなっ』と攻撃を自分自身で制御します。さらに時間がたてば愛情という薬で親子の関係は元通りに修復されます。このように、子供は、その攻撃が抑圧されることなく発揮され、その攻撃の手ごたえにより他者との関係をコントロールするという技術を習得するのです。憎悪と愛情の両方を経験して精神的に自立していくのです。
しかし、子供が少しでもダダをこねようものなら、すぐに叱って、いつも親が子供の感情を抑制していたらどうなるでしょう?子供は、攻撃の上限がわからないまま成長し、そしていつか自分では制御不能な感情を爆発させます。キレる子供は、攻撃性が幼少期に抑圧された結果生まれてくるのです。
愛情を基にした信頼関係があれば、思い切り叱っても関係は壊れることはありません。叱るという行為は、自立して一人で何でもできるようにするための大切な教育の一つなのです。