【長井先生コラム】「緊張のない国で、緊張している子供たち!」
2025.02.26
今、インバウンド(訪日旅行)で多くの海外の人たちが日本を訪れ、日本の痒いところに手の届く安心感、そして居心地の良さを絶賛しています。夜遅く外を歩いても比較的安全だし、電車の改札口で駅員さんが「切符の取り忘れがないように!」と、レストランでは店員さんが「お皿が熱いので、お気をつけください。」と注意してくれたり…本当に日本は緊張して生活する必要がない国なのです。しかし、それは大人にとって楽な環境であって、子供にとってはよくない環境なのです。子供は、何が危険で、何が危険でないか、そして何を自分の責任のもとにしなければならないかを、厳しい環境条件の下で経験することではじめて生きる術を学びます。
欧米の家庭では、親がいなくても自立して一人で何でもできるように、たとえ裕福でも子供には自分のことは自分でやらせるよう教育します。ところが、日本では、朝遅刻しないように親が起こし、「学校どうだった?」と心のケア。少しでも危ないことをしようとすれば、すぐに親が手を出し、子供のために親が何でもしてくれます。
こんな、いたれりつくせりの環境では子供はリラックスして緊張感がないだろうと思うと大間違い…。子供はいつもビクビクして緊張しっぱなしなのです。なぜなんでしょう?
人間の脳には、扁桃体という危険センサーがあり、危険な状況を判断して緊張させて動悸を起こすなど、いつでも走って逃げられるように危険を回避しようとします。
しかし、何でも大人が先回りして緊張を回避していると、子供の脳の危険センサーはほとんど使われないため、わずかな刺激でも危険! 危険! と警報をならすようになります。親は、子供を暖かく見守りながらも、自分でできることは自分でさせることで、危険回避のすべを身につけさせなければなりません。