【乳がん】自分と家族のために乳房に関心を 乳がんは早期発見と早期治療がポイント
2020.08.31
乳がんの
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日本で1年間に新たに乳がんと診断されるのは約9万4000人。日本人女性がかかるがんの中で最も多いものの、死亡数はがんの中で第5位。進行が緩やかなので乳がんで亡くなる人は少なく、早期発見、早期治療で完治を目指せる病気だ。
がんの発症は20、30代では少なく、40代から急激に高まる。日本乳癌学会から発表された2017年のデータ(グラフ)を見ると60、70代での発症も多いことが分かる。この二つのピークは年々はっきりとしてきた。「子育て中の方、働き盛りの方、そして子育てを終えて自分のやりたいことをしようと考えている年代の方に多く見られます」と舛本医師は心配する。
日本の乳がん検診率(50~69歳)は全国平均で約45%。先進諸国が70~80%と比べるととても低い。自分のことは後回しになりがちだ。
東広島市は乳がん検診として、40歳以上の女性を対象に2年に1回のマンモグラフィ検診を行っている。「乳腺組織が多い方は乳房全体が白く写り、同じように白い塊として写る乳がんのしこりが見えづらい。超音波検査も加え、早期発見につなげてほしい」と勧めている。
近年、乳がんにかかった人の5~10%は遺伝性であることが分かった。この遺伝性乳がんの多くの人に、がんを抑制する遺伝子「BRCA」に変異が見られる。BRCAの変異は血液検査で確認できる。2020年4月から乳がんにかかった一部の人が保険適用で調べられるようになった。
BRCAに変異がみられる場合は、乳がんや卵巣がんになる可能性が高くなる。乳がんにかかった人のうち、BRCAに変異がある場合、希望があれば、乳がんや卵巣がんを発症していなくても、予防的に対側乳房切除や卵巣切除を保険適応で行えるようになった。
BRCAに変異がみられる場合は、子どもへ2分の1(50%)の確率で引き継がれる。「遺伝子情報は、ご本人やご家族の健康を管理する上でとても有用です。医師や遺伝カウンセラーと相談しながら、その後の治療に役立ててほしい」と舛本医師。「乳房で気になることがあれば、早めに乳腺外来などで相談してください」と呼び掛けている。
日本乳癌学会「全国乳がん患者登録踏査報告(2017年次症例)」より
■自己発見・・・・・・・51.7%
■ 検診(自覚症状あり)・・6.2%
■ 検診(自覚症状なし)・・28.1%
■ その他・・・・・・・・・13.4%
■ 不明・・・・・・・・・・ 0.7%
①両手を下げた状態で、「乳房の形に左右で差がないか」「乳房にしこりやくぼみはないか」「乳首がへこんだりただれができたりしていないか」をチェック
②両手を頭の後ろで組んで1と同じ3点をチェック
①右腕を頭の後ろに置き、左手の親指以外の4本の指の腹で、右の乳房を軽く圧迫しながら、まんべんなく触れしこりがないか調べる
②そのままの状態で右の脇の下にしこりがないか調べる
③左腕を頭の後ろに置き、左の乳房、脇の下を調べる
最後に左右の乳首を軽くつまみ、血のような異常な液が出ないか調べる
次の症状があれば乳腺外来で受診を
□しこりがある
□乳房の皮膚にひきつれやくぼみがある
□乳頭が最近陥没してきた
□乳頭から分泌物(血が混じったもの)が出る
□乳房の皮膚がオレンジ色のように変色している
□乳頭がただれたり、びらんが生じている
□脇の下にぐりぐりがある