【長井先生コラム】「多様な選択肢を理解する子育て」
2025.03.26
20年前の中学生は、まだスマホもそれほど普及しておらず、テレビ・ラジオ・新聞などから情報を得ることしかできなかったのですが、今の中学生は、生まれた時からスマホやパソコンが普通です。20年前の親は「ウチの子はマンガばかり読んでいる。」と嘆いていましたが、今の親は「ウチの子はスマホばかり見ている。マンガさえ読まない。」と言います。
確かに20年前と比べ、コミュニケーション能力が低下しており、面と向かって話すのは苦手ですが、LINEなどのSNSでは指は高速で動き、情報処理能力は著しく高いのです。
ネットを使い自分の興味のあることへの情報がすぐに手に入るため、価値観も多岐にわたっています。20年前は、学力が自分の将来に大きな影響を与えていましたが、今は、学力だけでなくスポーツ・音楽など多様な選択肢が増え、大人が想像できない将来設計をする子もいます。
10代の中頃から性ホルモンの分泌が活発となり、身体と心のアンバランスから思春期特有の反抗期になり、親に反抗することで自立心と自分の価値観を持つようになりますが、最近の中学生には、この反抗期がない子が増えています。なぜ今どきの子には反抗期が少なくなったのでしょうか?
思春期になると火山のマグマのように溜まったものが一気に爆発するのですが、ネットで「イライラする。思春期。なぜ?」と検索してみると医学的なものから個人的意見まで情報が出てきます。今どきの子は1人で悩むこともなく、情報の中から自分の納得のできるものを選択し、自己燃焼することで溜まったマグマを小出しにしているのでしょう。
親は、多様な選択肢が提示される子供の環境を理解し、勉強だけではなく、本当に子供がやりたいことを一緒に考えてやることが大切なのでは…。