【JTサンダーズ広島】ー周囲の支えでやり通す力ついた いろいろなことに挑戦をー 井上航選手インタビュー
2021.03.20
スポーツのプロは、子どものころどのような練習をして、プロになった今、どのような思いでプレーしているのか。バレーボールVリーグ男子に所属する「JTサンダーズ広島」の井上航選手にインタビュー。(3月10日に取材)
― プロ選手になったきっかけは。
大学4年生のときにJTサンダーズ広島にスカウトされたこと。2017年4月にJTサンダーズ広島へ正式入団、17年の1~3月は内定選手として試合に出ました。
バレーボールボールを始めたきっかけは、小学校2年生のとき。友達に誘われてスポーツ少年団へ入団したこと。
小学生のころはスポーツ少年団に所属。中学・高校はバレーボール部でした。
― 子どものころ苦労したことは。
練習そのものに対して、つらい・苦労だと感じることはありませんでした。練習時間は長いと感じていましたが、自分が好きでやっていることなので特に苦労をしたとは思っていなかったですね。ただ、スポ少の練習は厳しくて休みがなく、「遊びたい」「友達が遊んでいるのがうらやましい」と思うことはありました。中学生のときの部活は楽しかった!
― 子どものころの周囲のサポートは。
小学校高学年のころ、「遊びたい」という気持ちからスポ少を辞めようと思ったけど、監督やチームメイトの保護者に止められました。
周囲の人に辞めることを止められ、励まされたからこそ、今の自分がいる。このときにバレーボールを辞めてしまっていたら、嫌なことから逃げ続ける人生だったと思います。
逃げずに立ち向かったからこそ、やり通す力がついたと思っています。
― 壁にぶつかった時の支えは。
今シーズン(2020/21)の序盤は、試合に出場できず、出場しても、自分の力が発揮できていないと感じていました。
このとき、ファンの方からの手紙をいただいたり、応援の声を掛けてもらったりしたことがとても励みになりました。ファンレターは受験生や就活生からも届いています。
人生の中で大変なときなのに「自分(井上選手)がプレーしている姿を見て励まされている」といったメッセージをくれたことがうれしく、その言葉が力になり、自分も頑張らなければと思いました。
学生時代を含め、自分は仲間や周りの人に恵まれています。
周囲の人のサポートなしではここまでこられませんでした。
― やりがいや苦労は。
学生時代は、自分がうまくなりたい、日本一になりたいという気持ちだけでやってきましたが、プロになった今は、ファンレターをもらう、ファンサービスをするなど、応援してくれるファンがいることにやりがいを感じています。
苦労は、ここ3年くらいあまりチームが勝てていない状況。「どうやったら勝てるんだろう」と。
しかしこの状況も個人的にはネガティブに捉えず、常に上位にいることは難しい、遅かれ早かれこのような状況はくる。
どこかでこういう経験をしておいた方がいいとポジティブに捉えています。
― 日々の生活で大切にしていることは。
「一日一日を楽しく生きること」をテーマにしています。
嫌なことやうまくいかないことがあっても、ネガティブにならず「いい一日だった」と思えるように意識しています。
― 目標に向かって頑張っている子どもへのメッセージを。
子どものときから目標に向かって頑張っている姿勢は、本当に素晴らしいと思います。
自分が成長していくためには、たくさんの人と出会い、いろいろなことに挑戦してほしいですね。
今はまだ、明確な目標が見つけられていない子どもには、保護者や周囲の人がサポートを。
もちろん、絶対に目標がなければいけないということはないです。「目標を持たないといけない」と親が押しつけるのではなく、その子らしく、楽しく人生を送れるよう保護者がサポートをしてほしいと思います。
努力の課程の中で、一つでも目標が見つかるのであれば、とてもいいこと。
どのような子に対しても、周りの理解とサポートが大事だと思います。
井上選手が「お父さんのようでお母さんのようでもある」という竹田マネジャーとパチリ
◆バレーボールボール人生で
思い出に残っている試合
「2016年のインカレ決勝、JTサンダーズ広島でのデビュー戦」
2016年のインカレ決勝は大学4年生のとき。決勝で接戦の末、負けてしまった。
そのとき、心がからっぽになったが、頑張ってよかったと思えました。
東海大学卒業後の2017年4月に正式入団。2016/17シーズンの終盤はまだ大学生だったが、内定選手として、2017年のシーズン中の1試合に出場。これがデビュー戦となりました。
デビュー戦は、その試合に勝つか負けるかで、その後の試合を左右するとても重要な試合でした(この試合に負けると「入替戦」に行く)。この試合の3セット目に出場。
事前に出場する予定があると伝えられておらず、本当に突然出場することになりました。
本音をいうと「何ともいえない気持ち…」「マジか…」と思いました。チームはフルセットの末敗退しました。
◆ゲン担ぎ・ジンクス
試合の日の朝食、もしくは昼食のあと(試合開始時間によって食事のタイミングは違う)、ブラックコーヒーを飲むことがルーティンになっています。
食事のあとにブラックコーヒーを飲むと、目が覚める、シャキッとするような気がする、頭がすっきりする気がします。
ホテルに宿泊をしているときは、カーテンを全開にして空を見ながらブラックコーヒーを飲んで一息ついて試合会場へと向かっています。
あと、試合直前は陳選手の頭をわしゃわしゃとなでることがルーティン。自分が落ち着くというより、陳さんが落ち着くから(笑)
◆好きな言葉・座右の銘
「死ぬこと以外はかすり傷」
バレーボールでもそれ以外でも、うまくいかないことはいっぱいあります。
毎週試合があり、その中でうまくいかなかったとしても、次の試合があると思うようにしています。
試合に負けたことは自分の中では大きな出来事ではあるが、結局一番大変なことは「死ぬこと」だと思っています。
それに比べれば、うまくいかなかったことは大したことではないだろうと思っている、という意味を込めて。
◆休日の過ごし方
現在は、コロナ禍なので外出をしておらず、トレーニングをしたり部屋でゆっくりしたり。
休日はNetflixを見ている。小学生のころは休みなくバレーボールをしていたので、アニメを見る機会がほとんどありませんでしたが、このコロナ禍でアニメにハマった。日本のアニメすごいなと思っています。
◆子どもの頃の夢
「JTサンダーズ広島の選手」
子どものころからの夢ではありましたが「絶対になるんだ!」という強い気持ちではなく「なれたらいいな」くらいの気持ちでした。
JTサンダーズ広島の試合は小学生のころ、グリーンアリーナへ見にいった経験がある。バレーボール教室でも、JTサンダーズ広島の選手がきてくれました。
そのころは、自分は選手になれないだろうけど、選手たちをかっこいいと思いながら見ていました。
文/徳保