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  • 【東広島市内】小中学校でタブレットの配備完了 未経験の親世代はどう向き合う?
  • 【東広島市内】小中学校でタブレットの配備完了 未経験の親世代はどう向き合う?

    2021.03.22

    全国で進められているGIGAスクール構想の「一人1台タブレット」。東広島市は昨年末までに、市内の全児童生徒分のタブレットを各小中学校に配備。今年1月から授業や家庭学習で使われている。多くの親はタブレットでの学習は未経験。どのように向き合えばいいのか分からない、という声も上がっている。(文/茨木)

     

    目次

    アイデア次第でどんどん広がる

    「自分の知らない人と出会える、新しい考え方と出合える、社会に意見を発信できる、現地に行かずとも疑似体験できる―など、タブレットは、子どもたちを日常から解き放ってくれるものです」と話す広島大学教育ヴィジョン研究センターの草原和博センター長。

     

    広島大学教育ヴィジョン研究センター 草原和博センター長

     

    東広島市内の小学校で使われているタブレット。家庭学習で、漢字のドリルをしている様子

    その一例として 広島のお酒の学習で、フランスのワインの産地や、灘や京都などの日本酒の産地とつないで、広島のお酒との違いを共同学習する 体育でオリンピック選手に指導してもらう 運動会や文化祭、学習の成果をネットで配信し、遠方の家族や専門家、行政の担当者に見てもらい、その場でコメントをもらう 翻訳機能を使って、日本語でコミュニケーションを取る―などを挙げる。「使い方もアイデア次第でどんどん広がっていきます」と草原センター長。

     

    わくわくするような話だが、ノートと鉛筆だけで勉強してきた親にとっては、ちょっとした意識改革が必要だ。向き合うポイントを草原センター長に聞き、まとめた。

     

    一人1台タブレット。
    未経験の親世代はどう向き合えばいい?

    草原和博センター長
    草原和博センター長
    子どもの表現方法を広げるツール。
    親子で一緒に楽しもう!

     

    タブレットはコミュニケーションツールと捉える

     

    「人と人、私と社会、ココと世界を結ぶICT」という発想に立ち、学びのカタチを変えるツールとして積極的に活用したいですね。まずは、先生や保護者が考え方を変えることが大切です。タブレットは単に「個人でひっそり使うもの」「情報が一方的に送られてくるもの」「ドリル学習するもの」ではなく、「コミュニケーションツール」だととらえましょう。

     

    子どもの能力を伸ばすために家庭や学校ができること

     

    ◆「家庭」でできること

    物事の技術を身に付ける時は、遊ぶ感覚で取り組む方が身に付きます。学校から子どもが持ち帰ったタブレットで、親子で一緒に遊んでみることをおすすめします。

     

    絵本を読み聞かせる感覚で、ユーチューブを見たり、写真を撮影して友達と共有してみたり、操作の仕方や発信の方法、マナーについて親子で一緒に考えたりすることで、子どものメディアリテラシーが鍛えられ、ICTと上手に付き合うことができるようになるでしょう。一緒に楽しむ上で、タブレットを使う時間やルールなどを決めて、健康管理もしましょう。

     

    ◆「学校」でできること

    タブレットを持ち帰った子どもが、「適当に遊んでいる家庭」と「一緒にサポートしてくれる保護者がいる家庭」とで学習の格差が拡大していく恐れがあります。


    保護者と一緒に学ぶ機会が得られなかった場合、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性もあります。家庭では、できるだけ一緒に使ってほしいですが、忙しくてなかなかできない場合も多いと思います。

     

    ですので、学校は、家庭間の格差を埋めるように「基本的な操作」や「リスクの問題」などについて指導していくことが必須になります。みんなが共通して身に付けていくべき技能、知識、リスクに関する考え方を、家庭だけに依存することなく、学校でしっかり教えていく必要があるでしょう。


    また、コミュニケーションツールですから、学校のセキュリティを下げ、さまざまなところとネットワーク回線でつながってみましょう。例えば、ユーチューブは教材の宝庫です。真偽をしっかり見極める学習も組み込みながら、授業で活用したり、子どもたちの学習の成果を発信したりするのもいいでしょう。

     

    自分で考え調べて発信する力を養えるツールとして活用する

     

    これからの社会では、「自分で考え調べて、自分の見解と相手の言葉を適切に引用しながら、上手に編集して発信する能力」が求められるようになるでしょう。その能力を身に付けられるのがICTです。

     

    これまでは、読み・書き・算数が基礎教養の基盤でしたが、今後は紙や鉛筆とは違う新しいコミュニケーションの仕方が生まれてくると思います。表現の方法は幅を広げ、これまでは、時数の少なかった家庭科、音楽、図工・美術、体育が、今後は中核を成す教科になるかも知れませんね。

     

    「インターネット上に発信したものはなくならない」と認識する

     

    2000年ごろにインターネットが入ってきたとき、「危ないものだ」「触るものじゃない」などと言われましたが、今はそれなしでは生活できないですよね。知らないものは怖いものと思ってしまう気持ちは今も昔も変わりません。


    事実、怖い面もありますが、避けるよりは、「適当な距離感を持って遊ぶ方法」をしっかりと身に付けた方がいいと思います。中学校、高校、大学と進学する中で、ICTを使い慣れている子とそうでない子の差が出てきます。自由に自分の情報を上手に発信して周りを巻き込んでいく力を持っていないと、デジタル化した民主主義社会の市民として、自分の主張を発信したり、実現していったりすることもできないでしょう。

     

    怖がり過ぎず、「何をするとどういう問題が起きるのか」と家庭も学校も一緒になって、使いながら学んでいくといいでしょう。「ICTを使って表現したものはなくならない」という認識を、家庭と学校、当事者である子どもたちが持つようにしましょう。表現して発信することに責任を持ち、発信したものは簡単には消せないことを知っておかなければなりません。

     

    何を学校で身に付けてほしいか、どのように情報を発信していくか、何をどう表現するか―など、3者で協議してルールを決めるといいでしょう。学ぶ過程こそ良き勉強です。


    子ども一人一人が持っている可能性を引き出し、多様な方法で表現する機会が担保される新しい社会をつくっていく必要があります。

     

     

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